池定・地域まもり隊

~活動の略歴~


本校は夜間定時制であるため、生徒の活動時間が夜間に限られてしまい、地域との連携においてその「時間の壁」にこれまで悩まされてきた。また、本校は小規模であるため、大きな活動を行うことも困難であり、「規模の壁」にも悩まされてきた。こうした現状の中で発想を転換し、デメリットをメリットである特色と捉え、夜間の活動が可能であり、少人数でまとまりのある活動ができることを生かし、より良い地域の安全と住みよいまちづくりに資する目的で、平成22年度に本校の愛称と地域貢献の決意を込めた名称である「池定・地域まもり隊」が結成された。

 隊のメンバーは本校の生徒全員であり、隊長は生徒会長が務めている。平成22年度の結成当初から夜間防犯パトロールを継続して実施しており、本校が単独で実施するとともに、三好警察署と連携して交通事故や振り込め詐欺等への注意を地域の方々に呼びかけてきた。

また、うちわづくりと鏡餅づくりも行った。うちわづくりは、マーブリングという手法でうちわに色付けし、メッセージを書いたシールを張り完成させるものである。製作したうちわは、地域の社会福祉協議会関係者や民生委員で構成される「ささえあいネットワーク」の会議参加者を通じて、地域の高齢者に届けられた。生徒と教員で作った鏡餅は、生徒手作りのメッセージカードを添えて、地域の高齢者グループホームに寄贈した。

 平成23年度は、東日本大震災の発生を受けて、市役所の総務部危機管理課や社会福祉協議会と連携し、防災に重点を置いた活動を行った。

本校が災害発生時の指定避難場所になっていることをふまえ、日ごろの防災対策やボランティアとしての心構え等を学ぶ「寄り合い防災講座」を受講した。危機管理課と連携し、「夜間に地域住民が避難してくる場合」を想定した校内フィールドワークを行い、校内の危険個所の発見や避難誘導経路の検討等を職員の方と一緒に行った。また、避難所での炊き出しを疑似体験するため、地域の婦人会の方々を講師として招聘し、「ハイゼックス炊飯袋を用いた炊き出し訓練」を実施した。また、東日本大震災の発生を受け、生徒たちの被災地復興支援に少しでも貢献したいという思いから、これまで地域社会に限定していた活動の幅を広げ、被災地で厳しい暑さを凌いでいただけるように、宮城県牡鹿郡女川町の女川第二小学校に、応援メッセージのシールを貼付したうちわを送付させていただいた。

鏡餅づくりは、日本の文化の伝承もかねて、昔ながらの杵と臼を使って実施し、完成した鏡餅は地域の高齢者施設へ寄贈した。

 平成24年度は、市役所の環境福祉部環境課と連携し、自然環境やエネルギーの問題に重点を置いた活動を行った、地域の環境美化や自然環境保全に少しでも貢献するため、地域を巡回してゴミ拾いを行った。そして、地域の環境問題やゴミ分別について学ぶため、環境課の職員の方を講師として招聘し、「環境教育出前講座」を受講した。学んだことを生かし、地域自治体が民間企業とともに取り組んでいる廃食用油の再生のための回収作業を支援するために、本校でも使用済み食用油の回収を行った。地域の収集所へ提供した廃食用油の再生のための回収作業を支援するために、本校でも使用済み食用油の回収を行った。地域の収集所へ提供した廃食用油は、地域のゴミ収集車や給食配送車の燃料等に活用されている。また、本校の学校祭である「学〇祭」において地産地消の考えをもとに環境教育調理実習を行い、地域の食材を使ってポトフを作った。そして、地域の自治体が姉妹都市提携しているアメリカ合衆国オレゴン州ザ・ダルズ市のダルズ高校の生徒たちが夏休みに本校を訪れ、うちわふくりを通して互いに交流を深めた。また、訪れていないダルズ高校の生徒たちにも、日本の文化の紹介や節電・節水の啓発を行うため、本校の生徒たちが手書きしたメッセージ付きのうちわを提供した。さらに洗剤を使わずに食器等を洗うことができるという環境にやさしいアクリル毛糸で編んだ「アクリルたわし」づくりにも挑戦した。そして、製作したうちわとアクリルたわしを、切電・節水の啓発活動として地域の方に配付した。

この年度の東日本大震災被災地支援としては、福島県相馬郡飯館村の第6仮設住宅に、生徒たちが心を込めて書いた応援メッセージ付きのうちわを送付させていただいた。

平成25年度は、地域住民との交流をより一層進めるために、地域の神社とその周辺において、地域の方々と合同で清掃活動を始めた。この年度の東日本大震災被災地支援としては、仙台市若林区七輝中央公園仮設住宅と仙台市社会福祉協議会ボランティアセンターに、生徒たちが心を込めて書いた応援メッセージ付きのうちわを送付させていただいた。

 平成26年度は、地域防災の視点も含め、本校で「防災うちわ」と称して、災害発生時に避難済であることや、避難場所・連絡先等を書き込み、玄関に吊るして周囲や身内に伝えることができるうちわを製作し、地域住民に提供するとともに、この年度の東日本大震災被災地支援として、仙台市社会福祉協議会ボランティアセンターに送付させていただいた。また、少しでも地域振興への協力を行いたいという生徒たちの要望で、地域の芸術家の指導のもと、本校全日制の美術部員や地域の方々とともに、本校のシルクスクリーンの機械を使い、孔版画の技法を用いて、はっぴに絵柄を印刷し、地域のイベントに活用していただいた。

これら、継続的・持続的に行う活動と、その時々の生徒・学校の状況に応じた活動や地域社会からの要望に応えていく活動等、これまで地域社会に貢献する様々な活動を行ってきた。

 上記の活動以外で、平成25年度からは、自分たちの地域のことについてさらに理解を深めるために地域を知る学習活動を進め、地域に関する歴史や文化など様々な分野について学び、4班に分かれて校内で地域を知る学習研究発表会も行い、現在も継続している校内における節電・節水・ゴミ分別・リサイクル活動等の取組や、地域における池定・地域まもり隊の自然環境保全等に関する取組をもとに「学校版環境ISO」を取得し続けている。